氣が失せている。
きっかけは、長電話。
総合病院に入院した男からの電話。
通話時間は90分。
彼は4回ワクチンを射っている。
病名は膵臓癌。
知らず、彼の質問に答え続けた。
しかし、気づいた。
彼は彼の答えを持っている。
ではなぜわたしに電話をかける?
勝手にすればいい。
電話を切ったあと、わたしは、自分の氣が枯渇し、異様な紫色の振動数を示していることに気づいた。
そして、不整脈が出始め、目眩が重なる。
白い晒の盆の上に、力なく開いた札は、桐のカス。
多くを喋りたくない。
人のためにと、語りたくない。
これ以上喋ると、細胞の鞭毛が止まりそうだ。
泉谷が歌っていたよね。
人のために良かれと思い
西から東へとかけずりまわる。
やっと見つけた優しさは
いとも容易くしなびた
今日で全てが終わるさ
今日で全てが変わる
今日で全てが報われる
今日で全てが始まるさ
この動画もいつか削除されるのだろうか。
この度は、嵌った。
美しいものを黙って見ていたい。
この世から消える準備はできている。
ラヂオの電池も切れかけている。