わたしは1日に7回位は食べ物を口にする。胃と十二指腸を切除し、甲状腺機能亢進症で周期性四肢麻痺を起こすようになってから、食後の高血糖と食後3時間ほどで現れる低血糖症状を緩和するために。一度の食で摂取する糖質量は20〜40g。それでも食後の血糖値が250mg/dLをこえることは珍しくない。例えば250mg/dLの血糖値が3時間も経たずに150mg/dLに下がれば、わたしの體は低血糖の症状を起こす。目の前が真っ白になって気を失いそうになったことも何度もある。後期ダンピング症候群。しかし、このわたしの症状を殆どの医師は認めない。ベッドで震えるわたしの血糖値を測り、「低血糖ではないです」と言う。血糖値を絶対値でしか見ていない。血糖値の変化で色々な症状が出ることを理解しようとしない。まことに想像力の欠如が甚だしい。医師は人を診なくなった。彼らには目の前の数字しか見えない。
その話はさておいて、残っていたリブレのセンサーがあったので、2週間血糖値をモニターしてみた。これは、利尿剤を毎日2種類飲み、干し大根状態で計測した記録である。生の大根より干し大根の方が1dlあたりの糖質量は高くなる。食べる食事が同じでも、血液量や體水分率によって血糖値は変わるだろう。
さて、このグラフは2週間の平均値を黒い線で示しているらしい。見ていただきたい。わたしは午後から調子が出て、夜寝るのが24時を過ぎる人間だ。そして、食事を3時間ごとに7回は摂っている。このグラフを見て、わたしは確信した。血糖値は交感神経の亢進で上がり、副交感神経優位になると下がる。交感神経の亢進はグルカゴンを始めとするホルモンの過剰分泌を促進し、肝臓での糖新生を高めて、血糖値を上げてしまう。このグラフを見ると、わたしは24時頃から副交感神経優位になり、朝9時頃から交感神経が起き上がってくる感じだ。何度も言うけれど、この2週間の期間中、わたしはほぼ3時間おきに20〜40gの糖質を摂っている。たとえ夜中の3時でも小さなおにぎりをお腹に入れたりしている。摂取する糖質はほぼ一定なのに、血糖値は大きな波を作っているのである。
この2週間の実験中に驚いたことがある。それは、食事をとると血糖値が下がることがあるということだ。それが丁度昨夜にも起きた。
食後3時間で血糖値が224mg/dLあったのだが、15分ほど経って目玉焼きとベーコンとおにぎりを半分くらい食べた。そして45分後に血糖値を測ると、199mg/dLになっている。わたしは、このことは、副交感神経優位になったためだと思っている。つまりりグルカゴンがおとなしくなったためだと。
もう一つ明らかだったのは、小麦を食べると血糖値が上がりやすいということだ。わたしはパンを食べないが、麺類が大好きだ。だから、家で焼きそばを作って食べるときは麺の量を半分にしているが、それでも血糖値は上がりやすい。わたしの場合、食べる量と血糖値は比例していない。ポストハーベストを疑ってしまうが、これは調べようがない。
昔、「食べるものがなくて、腹が空いて困ったら煙草吸ったらいい」と言われていたことがある。煙草の中に含まれている成分の何かが交感神経を刺激して血糖値を上げるのだろう。わたし自身も6畳一間のアパートで煙草を吸いながら空腹を誤魔化したことがある。
さて、血糖値が高値になる原因はと考えると、
1.ストレス
肉体的にも身体的にも、ストレスを受け続けると、體は戦闘準備状態に入り、交感神経が優位の状態が続く。これは確実に血糖値を上げる。わたしは何度か、他人と討論したことがある。そんなときは、食後3時間で起きるはずの低血糖症状が現れない。体の中で糖新生が行われているからだろう。7月に異常な不整脈に襲われて病院に運ばれたとき、血糖値を測ると478mg/dLあった。交感神経が異常に緊張しており、異常な脈拍を生み、糖質をも上げているのだろうと思う。
2.脳が勘違いをしている
最近、糖質ゼロの甘味料が色々とあるらしい。そのようなものを體に入れると、脳は糖質が入ってきたものと勘違いするのではないか。しかし、血糖値は上がらない。そうすると、脳はグルカゴンを刺激して血糖値を上げようとするのではないか?おやつを食べたければ少量のサツマイモがいいのではないか。脳が感じた糖質と実際に體の中に入ってきた糖質に差はないし、サツマイモの食物繊維はグルカゴンの働きを抑えると言われている。スーパーに並ぶ人工甘味料や食品添加物の入った商品には手を出さない方がいい。脳が的確な判断ができなくなってしまう。
3.糖質過多の食事
糖質を多く摂ると、エネルギーとして使われなかった糖質は飢餓に備えて脂肪になったり、筋肉の中に蓄えられる。それ以上の余分な糖質は血糖値を上げる。よく医者が、適当な運動をしなさい、と言うが、本当は筋肉をつける運動をした方がいいと思う。筋肉が多くなれば糖質を溜め込む量が大きくなる。そうすれば、血糖値は上がりにくくなる。わたしは血糖値を少し下げたいときはスクワットを数回する。うまくいけば、30mg/dLくらい血糖値は下がる。長時間の筋トレはしない。特に空腹時に運動を続けると交感神経が上がり血糖値も上がることがある。下の動画も参考になる。
鳥の血糖値はたしか250〜300mg/dLくらいだったと思う。鳥はインスリンを出さない。インスリンを出してしまうと糖質は筋肉に取り込まれたり脂肪になったりする。すると体重が増えてしまう。体重が増えてしまうと飛べなくなるのだ。これは鳥にとっては生命の危機である。インスリンはファットホルモンである。
インスリンは血糖値を下げるためにあるのではない。余剰のグルコースを體に貯蓄するためにある。その結果として血糖値が下がるだけのことではないのか。體は常に飢餓に備える行動をしている。血糖値の調節はグルカゴンを始めとするホルモンが行っている。だから糖質制限はインスリンの分泌を減らす意味で有効であるが、過度な糖質制限は筋肉を減少させ基礎代謝を落としてしまう。体温は下がり、血流も滞る。そうなると、どうなるのか。
この絵は鎌倉時代の「寛喜の飢饉」の様子だと言われている。人口の3割が餓死したという。
この絵の人々は糖新生をするエネルギーも尽き果てているのだろう。
それにしても血糖値が高いということはそれほど悪いことなのだろうか?確かに糖には毒性もあるだろうし、最終糖化物質の問題もあるだろうが、血糖値が高いために、過剰なインスリンが分泌されることが第一のリスクだと思えてならない。だから、血糖値を下げるために、インスリン製剤を飲み続けることの方が、わたしにはずっと危ういことのように思える。しかし、心に引っかかることがある。癌だ。癌の検査をするときにPET検査をすることがある。ブドウ糖に造影剤か何かの薬剤を混ぜてレントゲン検査をすると癌のあるところが光って見える。これをもって、糖質は癌の餌だという人もいるが、もしも癌というものが体外に出せなくなった重金属や化学物質などの浄化装置だと考えると、糖質は餌ではなくて、毒だということになる。しかしながら、完全な糖質制限をすると糖新生によって體は糖を作り出す。これは、どう考えればいいのか。ここのところがわからない。
余談だが、胃と十二指腸を一度に切除した人はダンピング症状が出やすくなる。ヘルパーさんに、そう聞いたことがある。わたしは胃切除後、自宅でこの低血糖症状が出たときに、お世話になっていた近所のお医者さんに電話をしたことがある。先生はすぐにわたしの家まで来てくれて、わたしの様子を見てブドウ糖の注射をしてくれた。血糖値など測らない。脈をとり、聴診器で胸やお腹の音を聞き、「何か食べないと、またなるよ」と言った。そして、「外から見ても分からないけれど、”自分は身体障害者だ”、くらいに思っておいた方がいい」と言ってくれた。今の医者とは大違いだ。
今日も、最終結論までは届かない記事になってしまった。
近々、血糖とその周辺のことについては、まとめてみたいと思う。