塩と身体について時々調べる。

塩は体内に入ると、ナトリウムイオンと塩素イオンに分かれる。ナトリウムイオンは筋肉の収縮や腸からのアミノ酸やブドウ糖の吸収に利用され、塩素イオンは胃酸のもとになる。これが、定説であり、まぁ、基本だろう。

大体、いい塩とされているものは、天日のみか、天日と平釜で、水分を飛ばす。ここで問題なのは、その時の海水の温度である。ビニールハウス内の天日のみならば、60度を超えることはないのではないだろうか。平釜で煮詰めた場合は沸騰温度以下だから、80〜90度くらいだろうか。

このように、天然塩は海水から水分を蒸発させて作られるが、その蒸発のさせ方で塩の性質が決まる。

ひとつは、ミネラルの残量。
そして大事なのは、ナトリウム(Na)と塩素(Cl)の結合力。

海水に与える温度によって、ナトリウム(Na)と塩素(Cl)の結合力が変わる。高温で乾燥させるほど、ナトリウムと塩素が強く結合し、本来の役目を果たせない。だから、なるべく低温で乾燥させた塩を選んだ方がいい。

ナトリウムの本来の役割は、細胞を動かすことだろう。

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寝たきりの女性の足裏に、家族が毎日塩をすりこんでいたら、歩けるようになったという話もある。たしか「正食と人体」という本に書かれていたと思う。彼女はナトリウム不足だった可能性がある。

では塩素の役割は何だろう。Naと分離してイオン化したClはプラスイオンを探す。そして水素と結合するとHCl、塩酸である。酸性であるから、殺菌作用がある。胃液の材料となる。そして水溶液である塩酸はイオンに電離する。
HCl + H2O → H3O+ + Cl-

塩素はそれ単体でも、殺菌作用を持ち、さらに余剰のプラスイオンと結合し、それらを対外に排出させる役割を果たしている可能性がある。これは、あくまでも想像であるが・・。

塩素というと、かのMMS(二酸化塩素)を想起する。MMSは殺菌作用に加えて、重金属(水銀、鉛、ヒ素、アルミ・・・)のデトックス作用もあるといわれている。この作用は塩素の働きと分離して考えることは出来ない。適正な塩を摂っていれば、二酸化塩素は呼吸をしている私たちの身体の中で自然に発生している可能性もある。

ただ、一部には、この塩素を有害だとする意見もあることも承知している。しかしながら、海の中で泳いでいる魚は元気だ。塩素がただの毒なら、魚は生きていられない。過剰に怖れることはないだろう。

いずれにしても、塩の主成分であるナトリウムと塩素は、身体に必要な働きをしている。

さて、塩を選択する際にわたしたちがすべき事は、海水に熱を加えず、単に水分だけを取り除く方法を採用した製塩法か否かを確認することだ。
過剰な加熱をせずに作られた塩が体内で水溶液になった時に、ナトリウムと塩素がイオン化し、それぞれの役割を十分に果たしてくれる。

少なくとも、「イオン交換膜・立釜・乾燥」などと書かれている塩は買わない方がいいと思う。
今のところ、わたしは皇帝塩を食べている。



自然医学会会長 森下敬一氏の文章を引用させていただく。

「塩の生理作用と役割」

 では、食塩はわれわれの生理機能上どのような役割をはたしているのかといえば、一口でいうと、新陳代謝作用の主導権を握っているのである。

われわれの健康障害は、いずれも新陳代謝の異常によって引きおこされる。ガンさえも例外でなく、新陳代謝の異常が、血液の酸毒化をもたらすことによっておこることを考えても、食塩の重要性は理解できるだろう。

塩分は新陳代謝の正常化という作用を介して、血液を浄化し、血液本来の機能を強化する。そのほか、唾液、尿、胆汁の中にも含まれ、各組織の活動を支えている。
特に胃液では、重要成分である塩酸を構成している。

また、塩は、血管壁に沈着した鉱物質を排除し、血管の硬化を防ぐ。同様に、腸壁に沈着している鉱物質を溶解し、腸の嬬動を高めるとともに、消化液の分泌を助け、腸内の異常発酵を防止する。そのため、食物の消化吸収を妨げる条件が除かれる一方、毒素の吸収が防止されるので、消化吸収が速やかになるとともに血液が浄化される。

したがって、病人や虚弱者とくに胃腸の弱っている人は、生理的な意味での良質(純粋の意味ではない)の塩を不足しないように補給することが重要である。

血中の蛋白質の一部は塩と結合することによって、蛋白質がすぐに全身の組織細胞で活用されうる溶解状態でいながら、腎臓膜でこされたり、他の組織において漏れこぼれたりしない状態に保たれる。

このことから、極端に塩分を制限した食生活をおこなっていると、著しい体の衰弱を招くけれど、その際は塩分の欠乏が、体蛋白の減少を招くことも重要な要素となっていると考えられる。

食塩は、粘膜や皮膚を刺激して、粘膜の分泌を促したり、その部分への血行を増大させたりする。そのために、適度な塩気を含んだ食品が、唾液や胃液の分泌を盛んにし、食欲をそそるのである。反対に、塩分を含まぬ食品は消化がおそく、胃中に停滞しがちで、消化不良の原因となりやすい。

また、食塩には強い殺菌力、防腐力もある。
傷口に食塩をぬることにより、化膿が防げるし、特殊な例では、食塩の投与で、
ひどい急性肺炎を一夜で解熱させたり、どんな治療も効果のなかったアメーバー赤痢を治したりした例がたくさん報告されている。

人間は半ば腐敗したようなものでも食べて平気でいられるのは、一つには塩の殺菌作用のおかげだ。

塩は、少しぐらい有害物質や細菌が発生・侵入しても、それらの害作用が組織細胞に及ばぬよう、防衛してくれているのである。われわれの体にはくまなく塩分がゆきわたっている。いわば、適度な塩漬け状態にあるといえる。

引用終了。



わたしたちは本能的に「體」の腐敗を怖れている。だから、適度な塩味を美味しいと感じる。塩が足りなくなると、ややもすると、アルコールに手を出す。さらに、砂糖を欲しがる。甘党で酒もいける、という人がいる。「體」が腐敗しないように、アルコール漬けにし、シロップ漬けにしようとしているのだ。

思えば、子どもの頃、風邪で熱を出した時に、親はわたしに塩水を飲ませた。そして、めったに食べれないバナナを買ってきてくれた。ナトリウムとカリウムの重要性は昔から生活の知恵として知られていたのだ。

塩探しの旅は今しばらく続く・・。

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