絆という言葉の言霊

言葉には力がある。

言葉というものは、広く人々が使うことによって、集合意識に影響を与える。集合意識は社会を変える力を持っている。言霊である。

「言霊」コトダマ

〘名〙① 古代、ことばにやどると信じられた霊力。発せられたことばの内容どおりの状態を実現する力があると信じられていた。
※万葉(8C後)一三・三二五四「しき島のやまとの国は事霊(ことだま)のたすくる国ぞまさきくありこそ」

② 予祝の霊力を持った神の託宣。※堀河百首(1105‐06頃)冬「こと玉のおぼつかなきに岡見すと梢ながらも年をこす哉〈源俊頼〉」

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私には気になる言葉がある。

それは「絆」という言葉である。

この言葉は確か東日本大震災後によく使われ出したように記憶している。

3.11のメルトダウンは、日本人が殲滅されるほどの力を持っていたはずなのに、なぜか私たちは生きている。私たちの免疫システムが変化したのだと、私は思っている。

その後、使われ出した「絆」という言葉。とんでもない意味を秘めている。


「絆」キズナ

〘名〙① 馬の足をつなぎとめておく綱の類。ほだし。※万葉(8C後)一六・三八八六「馬にこそ 布毛太志(フモダシ)掛くもの 牛にこそ 鼻縄はくれ」
② 褌(ふんどし)の一種。

〘名〙 (動詞「ほだす(絆)」の連用形の名詞化)
① 馬の足などをつなぐこと。馬の足になわをからませて歩けないようにすること。また、それに用いるなわ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
② 自由に動けないように人の手足にかける鎖や枠(わく)など。手かせ。足かせ。ほだせ。ほだ。※冥報記長治二年点(1105)中「夜中独り坐して経を誦す。鏁(ホタシ)忽ちに自ら解けて地に落ちぬ」
③ 人の心や行動の自由を束縛すること。人情にひかれて、自由に行動することの障害となること。また、そのようなもの。※古今(905‐914)雑下・九三九「あはれてふことこそうたて世の中を思ひはなれぬほだしなりけれ〈小野小町〉」

〘他サ五(四)〙
① 馬などをつないで放れないようにする。つなぎとめる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
② 人の自由を束縛する。→ほだされる。※中華若木詩抄(1520頃)中「羇客とかけば、羇はほだす也、ほだされた客ぞ」〘名〙 =ほだし(絆)②〔牢獄秘録(17C中)〕

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「絆」とは、自由に動けないように人の手足にかける鎖や枠なのだ。

私たちが広く「絆」と言う言葉を安易に使い始めると、私たちの心や行動の自由は束縛される。そういう可能性は高い。