プロスペクト理論はトレードする心理の中で、一番やっかいな問題だと思う。利益を早く確定したい。損失を認めたくない。この心の背景には自分は正しいという意識も潜んでいる。ある閾値までは、利益より損失を大きく感じてしまう。ある閾値を超えると「やけくそ」になる。そして、全財産をベットする暴れ者に変身する。
*プロスペクト理論WIKI

このことは、べつに博打に限ったことではない。人間の行動の中で随所に現れる。
日本の野球を見ていて感じることがある。0-0の投手戦が続いている試合も終盤の7回 表になってAのチームが待望の1点を挙げる。解説者が言う「これで試合が動き始めるかも知れませんね〜」。解説者は今までの経験の中で発言しているが実に的を得たものだ。案の定、7 回の裏にAチームのピッチャーが先頭打者にフォアボールを与えてしまう。これもプロスペクト理論だ。

0-0が続いているときは、ただ自分のピッチングをすることに専念していたピッチャーが、自分のチームが1点を取ってくれた途端に心理を揺さぶられる。「この1点を守りたい」と。1点は小さな利益だ。この小さな利益は守りたい。ピッチングは今までよりも神経質なものになり、際どいところに投げようと思うあまりに出たフォアボールだ。人間はややこしい。

もしも、味方が取ってくれた点が5点だったら、この心理は働かない。ピッチャーは思う。「5点も取ってくれたんだから1点くらい取られてもいいや」その結果、相手チームを完封してしまうことになる。
こうした心理はカジノのベットにおいて、負ければ賭け金を大きくするマーチンゲールという行動を容易にし、勝てば賭け金を大きするプログレッシブシステムを困難にもする。損失は認めたくない。利益は早く確定したい。
人の心はややこしい。わたしの心も、ややこしい。

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