「心理学や精神分析学では、性愛の対象が異性の存在全体ではなく、その身体の一部(毛髪、手、足、指、耳など。通常は性器は含まない)や、関係する物品(相手の持ち物や身に付けたものなど。たとえば、靴や、靴下、下着、ハンカチなど)に対してとくに強く向けられる傾向をフェティシズムとよぶ。通常の性愛においても異性の身体の一部がその対象になる傾向はあるが、フェティシズムの場合は、身体の一部や関係する物品(これらのフェティシズムの対象をフェティッシュとよぶ)がその異性から切り離され、それ自体が性的満足の契機となる。したがって、それ自体にきわめて強い執着を示し、それなしでは性的満足を得られない場合が多い。この概念はA・ビネによって心理学に適用され、その後、S・フロイトによって理論的に発展させられた。フェティシズムの発生要因としては、幼児期の性的興奮と、特定の対象とが偶然の状況で結び付けられたとする説明や、部分によって全体を象徴する人間の普遍的な認識様式に結び付けた説明などがあげられる。フェティシズムは過去には、節片淫乱(いんらん)症などと訳され、異常性欲、性倒錯の例として示されてきたが、近年、性愛の対象が身体の一部や関係する物品に向けられる傾向は普遍的に存在するとされ、これを倒錯や異常性欲として扱う傾向は弱くなってきている。」
(日本大百科全書(ニッポニカ)の解説)
 

フェティシズムは異常性欲として語られることが多いが、はたしてそうだろうか。神は細部に宿るというが、美もディテールに宿ると思う。

 

谷崎潤一郎は「刺青」から晩年の「瘋癲老人日記」まで、女性の足にこだわり、田山花袋は「布団」で女性が使っていた布団に顔をうずめた。

性別を問わず、たとえば後ろ姿の美しさに魅かれることなど日常的な出来事ではないか。フェティシズムの本質は想像力だろう。そして、ゲシュタルト崩壊がからんでいる。
 

ゲシュタルト崩壊(ゲシュタルトほうかい、独: Gestaltzerfall)とは、知覚における現象のひとつ。 全体性を持ったまとまりのある構造(Gestalt, 形態)から全体性が失われてしまい、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象をいう。幾何学図形、文字、顔など、視覚的なものがよく知られているが、聴覚や皮膚感覚においても生じうる。」(wikipedia)


漢字をじっと見つめ続けると、その意味が分からなくなるのもゲシュタルト崩壊だ。
 

女性の耳朶をじっと見つめていると、ゲシュタルト崩壊が起きることがある。耳朶は女性から切り離され、耳朶として存在感を放ち始め、まるで人格をまで持つかのように感じられてくる。フェティシズムはやはりゲシュタルト崩壊及び想像力とともにある。人間ならではの現象なのだろう。

 

「フェティシズムの本質は想像力とゲシュタルト崩壊ではないか」への13件のフィードバック

  1. なんと美しい・・・。
    すっと口に含み、じっと動かず、
    そして、泪が溢れてくるような。

  2. 体の一部でしかないのに・・・
    恍惚感を覚えるほどです

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  7. 海外のファンからの書込みもあるんですね。凄い!

    最近、ネットで日活の「生贄夫人」を数十年ぶりに見ました。

    改めて見直してみると、夫役の坂本長利さんが
    谷ナオミさんを縛る時に見せる、どうしようもない哀しみや怒り、
    諦めの表情がなんとも切なく、もしかしたら、この映画の主役は
    坂本さんのほうだったのかもしれないと思いました。

    (以前見た時には、谷ナオミさんの肢体にばかり目が行って、
    坂本さんの表情には全く気づいてませんでした・・・。)

  8. なんか、すごい時代ですね。自動翻訳でしょうか。

    「生贄夫人」は東てる美さんのデビューした作品ですね。わたしも1ヶ月くらい前に見ました。
    また見なおしてみます。

    SMではSがtopで、Mがbottom、
    そう呼ぶこともあります。
    私のブログは、その意味も込めています。(^^)

  9. あ、BOTTOMには、そんな意味合いもあったんですか。

    海外の人に、「みどり」のあの感じ、どんなふうに
    伝わっているんでしょう。

    聞いてみたい気がします。

  10. どうなんでしょうねぇ。
    わたしは、他人の感想を誰からも聞いたことがないのですよ。
    忘れているのかもしれませんが・・・。

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