哀しきゲイシャ・ワルツ

作詞:西条八十 
作曲:古賀政男
歌:神楽坂はん子

あなたのリードで 島田もゆれる
チークダンスの なやましさ
みだれる裾も はずかしうれし
芸者ワルツは 思い出ワルツ

空には三日月 お座敷帰り
恋に重たい 舞扇
逢わなきゃよかった 今夜のあなた
これが苦労の はじめでしょうか

あなたのお顔を 見たうれしさに
呑んだら酔ったわ 踊ったわ
今夜はせめて 介抱してね
どうせ一緒にゃ くらせぬ身体

気強くあきらめ 帰した夜は
更けて涙の 通り雨
遠く泣いてる 新内流し
恋の辛さが 身にしみるのよ



神楽坂で芸者をしていたはん子を古賀政男が気に入り、コロムビアへスカウトされた。「ゲイシャ・ワルツ」は昭和27年の歌。「テネシーワルツ」に対抗して作られたというが、真偽は判らない。

その後、身請け(結婚か?)や別れを経て昭和43年に歌手活動に復帰。

しかし、なぜか昭和50年代以降姿を消す。

平成7年6月10日。埼玉県川口市の武南病院で一人ひっそりと肝臓癌のため亡くなった。享年64。

神楽坂はん子



私は一人暮らしの芸者さんの部屋を訪ねたことがある。彼女の部屋は散らかっていて、昨日脱いだと思われる襦袢は畳の上で丸まったままだった。

しかし、夕方になって、仕事に出かける前に、鏡台に向かい、化粧をして、新しい襦袢と和箪笥から取り出した着物を一人で着付けると、見事に芸者に変身する。正座したその後ろ姿に、彼女の気概のようなものを感じた。

はん子さんについていろいろと書こうかと思っていたが、一人で死んでいったはん子さんのことを考えると、書けなくなった。人生儚い蜉蝣のごとし。

ゲイシャ・ワルツ 神楽坂はん子

君は誰なんだ?

夜中に目が覚める。
毎日だ。


目が覚めた時、ここがどこなのかが分からない。
一生懸命、今まで住んできたいくつもの場所のことを思い出す。
その作業をしないと、いつまでたっても、今いる場所が分からない。



ここしばらく、傘を差したことがない。
ほとんど毎日、買い物に出かけたり散歩したりするのだけれど。

雨音を聞きながら夕飯を食べる。
今日は散歩しよう、と思う。
そう思って、食事を済ませて外に出ると雨は止んでいる。

帰ってきて、お茶を飲む。
雨が降り始める。

もう、これが普通だと思っている。



綺麗なものが見たい。
ひたすら見たい。

わたしが見るものは、わたし。



冷蔵庫から卵を3つとり出して、割る。
こうなる。




もう、月がどこからでるのか分からなくなっている。
ただ、直感的に、月は2つあると信じている。




幼い頃、誰かに言われた。
「ごめんなさい」より「ありがとう」でしょ。と。

誰に言われたのか分からない。



独りが好きだが、さみしがり屋である。
デスクで仕事している時に、背後で女性の声が聞こえた。

「独りにしないからね」
と。

これも、誰に言われたのか分からない。



実は、自分が何者なのか判然としない。
わたしには名前もあり、親も兄弟もいるが、しっくりとこない。
自分の名前を紙片に書いてみる。
これも自分の意識とぴったりと噛み合わない。

見続けていると、ゲシュタルト崩壊を起こす。
そして、文字が雲散霧消する。



女性の美しさとは、その所作に宿る。

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以前にも書いたが、わたしの中には幼い男の子と、三十代くらいの女性が住んでいる。男の子が、前に出てくると、寂しくなる、駄々をこねる。閉じこもる。そんな傾向がある。



支離滅裂な自分に、飽いている時。
鬱々とする時。
空を見上げて、このツイートを思い出す。



歌でも聴こうか。9月。

遠い世界に/五つの赤い風船